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​教育講演

講演 1

「運動器理学療法のエビデンスと臨床の融合
   ―理学療法の専門職としての関わり方」

葉 清規氏
浜脇整形外科リハビリセンター

【職歴】

 平成11年 医療法人社団おると会浜脇整形外科病院 リハビリテーション科

 平成26年 医療法人社団おると会浜脇整形外科リハビリセンター 

             リハビリテーション科  科長(現職)

【学歴】

西日本リハビリテーション学院 理学療法学科 卒業

弘前大学大学院 保健学研究科 保健学専攻 博士前期課程 修了(保健学修士)

弘前大学大学院 保健学研究科 保健学専攻 博士後期課程 修了(保健学博士)

【資格】

専門理学療法士(運動器,スポーツ),認定理学療法士(徒手理学療法)

【所属学会・役員等】

日本運動器理学療法学会理事,日本筋骨格系徒手理学療法研究会評議員,

日本脊椎脊髄病学会,日本腰痛学会臨床研究委員会委員 等

 

理学療法士は,理学療法の専門家です。専門家(specialist,professional)とは,ある特定の学問・事柄を専門に研究・担当して,それに精通している人です。よって,理学療法を研究して,それを臨床応用できることが,理学療法の専門家であると考えます。

「研究」というと,難しいイメージが先行して,苦手と感じる方が多いかもしれません。研究には,研究を実践する立場,研究を解釈する立場があります。研究計画を立てデータを蓄積し,研究発表や論文執筆を行うこともあれば,研究成果をもとに,それを理解して臨床応用することも研究です。我々は,先人たちの研究成果を医学的根拠として理学療法を実践しています。そのためには「研究法」を理解することも必要になります。

運動器理学療法では,効果判定として質問紙票や運動機能検査による評価を行いますが,これらのアウトカム指標が臨床応用されず,発表のためだけのデータ収集になってしまうこともあると思います。本講演では,脊椎疾患を例に,運動器理学療法のエビデンスと臨床の融合について,理学療法の専門職としてどのように関わっていけばよいのか,自身の臨床・研究経験をもとに,皆さんと考える機会にしたいと思います。

講演 2

「認知症の理学療法」

平岩 和美氏 

広島都市学園大学健康科学部 リハビリテーション学科 理学療法学専攻 教授 

大学院保健学研究科 副研究科長 保健学専攻 教授

【職歴】

平成元年4月~富山県済生会富山病院 理学療法士

 平成3年3月~医療法人清栄会 脳神経外科塚本病院 理学療法士

 平成4年9月~医療法人長寿会 はたのリハビリ整形外科 理学療法士

          平成14年4月~広島医療保健専門学校 理学療法学科 専任教員

          平成26年4月~現在に至る 広島都市学園大学(現職)

【学歴】

金沢大学医療技術短期大学部理学療法学科 卒業 理学療法士

佛教大学社会学部社会福祉学科 卒業 学士(社会学)

放送大学大学院文化科学研究科政策経営プログラム 修了 修士(学術)

広島大学大学院社会科学研究科マネジメント専攻 博士課程後期単位取得満期退学 博士(マネジメント)

【資格】

専門理学療法士(支援工学理学療法、地域理学療法、予防理学療法)、介護支援専門員、社会福祉主事任用資格

日本では2022年に高齢化率は29%となり、疫学研究によれば2025年には高齢者の5人に1人が認知症になると予想されています。このような背景から2019年に認知症大綱がまとめられ、2023年6月には共生社会認知症基本法が成立し、リハビリテーションの検証や確立が推進されています。その中で一次予防対策の中心は、理学療法士が協力している介護予防住民運営通いの場です。

2015年以降、運動療法介入や好ましい生活習慣による認知症の予防・進行防止の効果が次々と報告されています。これまで投薬や対処法が中心であった認知症に対して、理学療法により「予防」という光が当てられたのです。運動の実施により脳や筋肉で代謝が高まり、長期的には神経可塑性の促進が起き、海馬における神経新生、脳萎縮の抑制、認知領域の機能改善が起きることがわかってきました。さらに生活習慣に関してWHOは身体活動、禁煙、栄養など12の関連項目を挙げており、このうち身体活動を強く推奨しています。

今回は認知症の施策、機序や分類、理学療法士が関わる評価・予防・治療・生活環境整備について概説します。皆様との意見交換により、研究の発展と臨床への応用を期待しています。

​ハンズオンセミナー

セミナー 1

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心不全と理学療法~症状や評価に着目して

吉本 尚記氏
広島赤十字・原爆病院 
リハビリテーション課

近年、社会の高齢化が進み「心不全パンデミック」と呼ばれるように心不全患者が急増してきています。理学療法においても、心不全の増悪時のみならず、主疾患に心不全を合併、または併存症として有する患者さんを治療対象とする機会も増加してくることが予想されます。心不全を理解することで、理学療法の診療の幅が広がり、専門性をより発揮できるようになると考えます。本セミナーでは、これから心不全患者を診療するかもしれない、または若い療法士の先生方を対象に、心不全患者への理学療法について筆者が日常診療で意識していることや臨床思考について紹介します。

セミナー 2

椎の他動運動の前に確認しておきたいチェックポイント

三田 貴志氏
医療法人社団成和会 
うたのはら整形外科クリニック

頚椎疾患患者の治療の際、頚椎を他動的に操作する場面は多々あると思います。上位頚椎領域には構造的安定性を維持するためのいくつかの靭帯があり、これらの靭帯に損傷や緩みが存在する場合、当該部位を大きく動かすことは神経や血管を損傷させる危険を孕みます。そのため、徒手理学療法では、頚椎の他動運動を大きなリスクなく実施可能かどうか、問診、視診、触診、画像所見、上位頚椎領域の靭帯の安定性テスト、動脈テストなどを組み合わせることにより判断していきます。本セミナーでは、これらのテストの実際について、近年のIFOMPT(国際徒手理学療法士連盟)での考え方を交えてご紹介させていただきます。

セミナー 3

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脳卒中理学療法における下肢装具の基本的な知識と使い方

宍戸 健一郎氏
社会医療法人清風会 
五日市記念病院

人類の進化の過程で道具の使用や言語の発達は大きな役割を果たしたといわれています。道具についてはその特性を知り、果たすべき目的に合わせて使い分ける必要があります。我々が用いる装具や電気治療機器、ロボットも例外でなく、患者の症状や目的に応じて設定や介助方法を変えることが重要であり、ADL場面においても自立度を上げることが求められています。その中でも歩行獲得に向けては装具を使いこなすことが必要不可欠であり、治療としての側面と歩行補助具としての側面を考える必要があります。今回のセミナーでは、使用頻度の高い装具の使用目的や工夫について、若手の方々を中心に私見も踏まえてご提示できればと思います。

セミナー 4

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よりよい慢性期と終末期を支える

岩城 基氏
大成呼吸器クリニック 
リハビリテーション科 (室長)

近年、COPDをはじめとした様々な呼吸器疾患の治療ガイドラインで、呼吸リハビリの導入、施行が推奨され、重要な治療としての立場を確立しつつある。当セミナーでは、呼吸器疾患に対するリハビリの概要と、急性増悪などを予防し、よりよい慢性安定期を過ごすためのリハビリ介入の実際、また、緩和ケアとしての呼吸リハビリについても触れたい。慢性期においては、効率的で効果的な評価と日常生活での活動状況から適切なプログラムを立案し、患者の生活実態を踏まえた運動・生活指導を提供することが重要となる。実習では、クリニックや在宅など設備の限られた場面でも有用な、フィジカルアセスメントと理学療法手技を紹介したい。

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